スタッフコラム | ダーニングのまほう



ちくちくちくちく
たてたてたて
よこよこよこ

お気に入りのニットにできてしまった穴をふさいでいく

ニットの虫くいはやっかいもの
そんな風に長いこと思っていたのだが
今は穴やシミを見つけるたび
ワッ!と心がおどってくる

それはダーニングを知ってから



ダーニングとは「繕う」という意味で
ヨーロッパに古くから伝わる衣類の修繕方法の一つ

何種類か縫い方の基本はあるけれど
「こうでなければならない」というルールは全くない

どこから始めてもいい
どこで終わってもいい
玉結びも玉止めもしない
ダーニングは自由そのもの

すごいのは繕い終わったあとに
魔法がかかったように一気に愛着が増すところ

上手くできなくてもいい
いろんな色と様々な糸で自由に描かれていく様子は遊び心とパワーまで感じる

何よりちくちく縫っている時間がいい



ちくちくと
ひと針ひと針進めるたびに
心はしんと静まり返り
自然と自分の心と向き合う時間がはじまる

あの時はうれしかったなぁとか
無茶させてるなぁとか
色んなところに気付いてきて
自分の心まで繕っている感じになる

ちくちくちく
ダーニングの楽しさと
スペシャルな自分をつくる旅の
はじまり、はじまり





【もくじ】
第1話 ダーニングのまほう




profile





山木 紗百合

「SAIFUKU」の企画・運営担当。ニットの産地のお隣にある小さな田舎町で育ちました。3歳の息子がいて、毎日わちゃわちゃと揉まれながら幸せに過ごしています。目標はよく噛んでたべること。得意な楽器はリコーダー。