Pデザイン研究所の加藤歩美氏によるニットコラム。様々な角度から、ニットについて語ります。





 

大抵の場合、友人の結婚式に呼ばれたらドレスアップするし、デートなら自分が美しく見えるように爪の先まで念入りに整える。
仕事であれば制服やスーツなど、仕事用の装いをする。
「スーツを着ないと眠れない!」と仕事から帰ってきてもスーツを着たままで寝る人も、この地球上にはいるのかもしれないけれど、多くの人は寝る時になればパジャマに着替える。

仕事時と自宅にいる時での格好が違うということは、1日の中でも最低2回は身に付けるものを変えている、つまり「仕事モード・自宅モード」に切り替えているんですよね。


 

なぜ私たちはモードチェンジをするのか?

ある日のオンライン会議で、パジャマを着たまますっぴんで参加している社員が映っていたら、、、その気にしない感じがクールでかっこいいなあ!と憧れるものの、、、いざ私の場合、オンラインといえども人と会うとなれば、画面に映る上半身だけでもきちんとしなきゃ!と思ってしまいます。
モードチェンジをする理由の一つには、このように「TPOを意識するから」と答える方が多いのではないでしょうか。

しかしその中には「気持ちを切り替えるため」という、内面的な理由も含まれていると思いませんか?
例えば朝のお化粧。最後に口紅を引いた瞬間、心の中で「仕事モードON!」のスイッチが入ったり。逆に化粧を落とすことで、あっという間にOFFモードになる。

「Clothes make the man=服装が人を作る」ということわざにあるように、身に付けるものを替えるだけで、私たちは仕草や口調、気持ちの在り方までも器用に切り替えることができてしまう。
10年ぶりに再会した友人の服装や髪型が以前と全く変わっていて、さらには口調まで変わっていたという経験はありませんか?面白いほどに、外見と内面のモードは繋がっているのです。


 

心を程よくOFFするためのニット

「ニット」は単に保温機能があるだけでなく、気持ちを温かく緩めてくれるアイテム。ニットを身に付けると体も心も温まりますよね。
私の場合、特にそれを感じるのは肌触りの良いニットのマフラーやストールを巻いた時。まるで自分が猫になって日向ぼっこでもしているかのような気持ちになるんです。
たった一週間の間でも、良い日もあれば悪い日もある。私たちの心は常に揺れ動いています。

特に今年は仕事環境や生活スタイルの変化によって、いつも以上に不安に襲われたりしている方も多いのでは。
なんだかドキドキして落ち着かない、気持ちが焦っている。そんな時は外側からモードを切り替えてみる。心を程よくOFFしてあげるための手段として、意識的に「ニット」を身につけて、ゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか?


 


加藤歩美 Kato Ayumi
Pデザイン研究所/デザイナー

新潟市在住。1985年新潟県燕市出身。長岡造形大学視覚デザイン学科卒業。 主な仕事はグラフィックデザイン・パッケージデザイン・エディトリアルデザイン・WEBデザイン・空間デザイン・商品開発など。2016年よりminoのデザイン制作に携わる。ライフスタイルで欠かせないのは音楽とヨガ。
(Pデザイン研究所)